日本型ものづくりのアジア展開
-中小企業の東南アジア進出と支援策-
2014-06-05
アジア太平洋研究所資料:「中小企業の東南アジア進出に関する実践的研究」の
2013年度報告書でKITAが紹介されました。KITAに関する箇所を抜粋
します。

○(公財)北九州国際技術協力協会(KITA)は、1980年の創設以来、北九州市の工業化や公害克服過程で獲得した環境技術・産業技術を国際協力・技術協力などを通じて途上国に移転することで、産業発展と環境保全の調和のとれた持続可能な発展を推進し、北九州市地域の国際化と発展にも貢献することをめざしている。業務の2本柱は、①国際研修(主にJICAの研修員受入)と②技術協力(専門家派遣等、海外での協力事業)である。KITAの活動を支えるのが、新日鉄やTOTOをはじめとする地元に根ざす大手企業OBである。JICA九州国際センター(以下、JICA九州)は同じ八幡東区の敷地に隣接するが、KITAの実績を基盤にして、市をあげた誘致活動が実り、1989年に設立された。
現在、KITAは長年の国際協力で構築した途上国とのネットワークを財産として、KTIやアジア低炭素化センターと連携して、北九州地域企業の海外ビジネスの推進にも取り組んでいる.例えば、海外ビジネスでは、JETROのRIT事業(※27)として北九州市が発案した「北九州・ベトナムビジネス交流事業」(2011~2013年度)を実施しており、ハノイ・ハイフォン地域の現地企業と北九州企業とのビジネスマッチングに取り組んでいる。同時に、RIT事業を通じてベトナム企業のレベルアップの必要性が明らかになり、これを補完・フォローアップするために、北九州市の発案で、KITAを実施機関としてJICA草の根技術協力事業に申請、採択された。現在、「ハイフォン市製造業の工場管理力向上プログラム」(第一期:2011~2013年度、第二期:2013~2015年度)として、5S研修や企業診断等の協力を実施している。すでに草の根事業で指導・育成したハイフォン市企業数社と北九州企業との商談が実現するなど、JICA事業とJETROのRIT事業のシナジー効果が現れている。こうした北九州市の強いイニシアテイブは目をみはるものがある。さらに、KITA という専門技術組織が国際協力と海外ビジネスの両方に関わることで、国際貫献と北九州地域の産業発展に調和がとれた形で寄与しているといえる。
(※27) “JETROの地域間交流支援(Regional lndustry Tie-Up)事業で、日本各地の中小企業がグループ単位で海外地域との間でビジネス交流を進め、商談することを支援。商談の結果、輸出や技術提携、共同製品開発等が行われ、ひいては地域産業活性化に資することを目的としている。
◆当資料は(一財)アジア太平洋研究所と政策研究大学院大学の共同研究の一環で作成された報告書から抜粋されています。